吉本ばななの「キッチン」を読んだ

吉本ばななを初めて読んだので感想です。

そもそも私はこういった教科書に載るような作家さんを好んで読んだことがありませんでした。

ミステリーやサスペンスなど読んでドキドキハラハラする系が好きなのですが、名作だしということで人に勧められて読み始めました。

 

いやあ名作なだけあってすごいですね。読み始めてからなぜかずっと泣きそうになっていました。

人が抱える孤独、埋まらない寂しさがずっとそこに横たわっているような切ない感覚。時折入る背景の描写が頭の中で鮮明に流れ、自分の記憶の中で勝手にリンクする。

悲しいことがあったのに勝手にやってくる夜明けを見たあの日、隣りにいるのに心を通わせられないと知ったあの日、実家を離れて泣いたあの日…

そういった人々が抱える孤独や寂しさを描きながらも、全編通して「食べること」が救いになっていることがとてもよかったです。

坂元裕二脚本の「カルテット」で「泣きながらご飯食べたことがある人は生きていけます」というセリフがあったことを思い出しました。

ご飯を食べるということは、生命エネルギーを摂取するということ。ご飯を食べられるということは、この先まだ生きていけるということ。

なんだかカツ丼食べたい気分だな。